自動化およびロボティクス
NKK 杉谷祐司
本セッションでは、CIM、ロボット化、センサ、適応制御、GMAW等について招待講演1件、一般講演8件が座長大嶋教授、山本氏の司会により行われ活発な質疑がなされ盛会であった。
招待講演は野本教授より、「シミュレーションを基にした大型溶接構造物の設計製造」と題して、著者らの開発になる「CAD CAM CAE統合化のための製品定義システム」とプロダクトモデルの解説、さらに、船体の性能評価と構造解析、生産日程計画、揚重シミュレーション、組立精度管理、ロボットのシミュレーションなど造船CIMへの適用例が紹介された。
一般講演では、1)全姿勢GTAWにおいて、CCDカメラにより電極、ワイヤ、開先、溶融池先端などの画像を抽出し、またスリット状レーザセンサを点滅させてアーク光のノイズを防止し溶接ビードの形状を検出する方法が示された。2)、現在アーク溶接ロボットにおいて広く活用されているアークセンサの感度と位相に及ぼす影響が、動的ワイヤ溶融速度の数学モデルを基に解析され、電源回路のインダクタンス、抵抗、アーク特性、溶接条件などの影響が明らかにされた。3)GMA片面溶接において、開先形状の変化によって起こるキーホール長の変化を回転後方の溶接電流で検出し、この電流値とアーク入熱が一定となるようにワイヤ送給速度と溶接電圧を制御する、アークセンサによる適応制御法が示された。4)直線走行と旋回動作が可能な2輪独立制御の自走式溶接台車と高速回転アーク法によるアークセンサ制御機能によって、升目ブロック4辺全局の隅肉溶接が無監視のもとに行われる知能化溶接ロボットが紹介された。5)開先内で溶接トーチを前後に振動するスイッチバック法と称する裏当て不要の片面溶接法が提案され、アークセンサによる開先ならい制御と、CCDカメラで検出した溶融池幅と開先ルートギャップを入力として裏ビード幅を制御するニューラルネットワーク適応制御法が示された。6)システム化されたマルチロボット溶接の橋梁、造船への実用化において、プログラム自動生成システムとロボットシミュレータからなるCADCAMシステム、高速回転アーク溶接プロセスによる高品質、高能率溶接と多機能アークセンサなどが紹介された。7)光切断式の画像センサによる開光線ならい、アークモニタによる2ヘッド1人操作、溶接時間が従来比13などを特徴とする高効率なパイプラインの内外面同時溶接プロセスが紹介された。7)内側Ar、外側CO2の2重シールドの低コストのMAG溶接法において、新たに開発したフラックス入りワイヤを用いると、付着スパッタが著しく減少することが詳細な実験によって示された。
セッションB−1およびB−2
材料の溶接性
大阪大学工学部 西本和俊
本セッションには、材料の溶接性を主題とし、招待講演1編を含め16編の論文が提出された。国外からの論文は2編であった。
招待講演は、H. Cerjak and B. Buchmayr: ”Mathematical Modeling - A Tool for Advanced Welding and Joining Technology?”である。本招待講演について簡単に紹介する。溶接現象には様々な現象が関与し、材料の溶接性を評価することは一般には容易でない。こ
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